結論から: ウィンドウ向けサイネージは「屋内に置く屋外用ディスプレイ」です。ガラスの内側にあるので防水は要りません。その代わり、通常の業務用ディスプレイにはない三つの条件が求められます。屋外の光に負けない輝度、日の当たるショーウィンドウにこもる熱を逃がす仕組み、そして歩道を歩く人がガラス越しに読める表示です。不動産会社の物件案内、ドラッグストアや携帯ショップの店頭、銀行の窓口、飲食店の入口――どの業種でも、確認すべき点は次の七つに集約されます。
1. 輝度 ― 窓の向きで決める
一般的な業務用ディスプレイの輝度は 350〜500 cd/m²(ニト)程度です。屋外は曇りの日でもガラス面で数千ルクス、直射日光ならその何倍にもなります。この明るさを背にした歩行者から見ると、500 cd/m² の画面は灰色の板にしか見えません。
ウィンドウ用途の目安は次の通りです。
- 北向き、または庇や隣の建物で常に日陰になる窓: 1,500 cd/m² で足りることが多い。
- 午後だけ日が入る、部分的に日が当たる窓: 3,000 cd/m²。
- 南向き・西向きで何時間も直射日光を受ける窓: 4,000 cd/m²。
注意点が二つあります。カタログの数値がパネル単体の値か、完成品で測った値かを確認すること。そして「明るいほど良い」わけではないこと――北向きの窓に 4,000 cd/m² を入れると、購入費も電気代も必要以上にかかります。
メーカーへの質問:「完成品としての定格輝度は何 cd/m² ですか。[窓の向き]の窓には、どのモデルを勧めますか。」
2. 自動減光 ― 日没後に効いてくる機能
昼間に十分な輝度は、夜には明るすぎます。フル輝度のまま夜間営業や消灯後の点灯を続けると、歩行者や運転者にはまぶしく、住宅が混在する通りでは苦情の原因になり、バックライトの寿命も縮みます。照度センサーで周囲が暗くなるにつれて自動的に輝度を下げ、朝になれば戻す機能があれば、この三つがまとめて解決します。
ただし、すべての輝度クラスに付いているとは限りません。検討中のモデルで標準搭載か、オプションかを確認してください。
メーカーへの質問:「このモデルには照度センサーによる自動減光が標準で付いていますか。」
3. 熱 ― 夏になるまで気づかない問題
ここが、ウィンドウ用ディスプレイが他の屋内ディスプレイと最も違う点で、故障の多くもここから来ます。
ショーウィンドウは温室です。日光がガラスを通ってディスプレイの背面に当たり、その熱は屋外のようには逃げません。しかも高輝度バックライトは通常のパネルよりはるかに多くの熱を出します。結果として、晴れた日には毎日数時間、熱のこもった密閉空間の中でディスプレイが働くことになります。
メーカーの対処法は二つに分かれます。
- ファンと通気口。 製造コストは安い一方、ファンは店内のほこりを本体に吸い込み、フィルターは目詰まりし、7月にファンが止まればパネルも道連れになります。静かな店内ではファンの音も気になります。
- ファンレス密閉構造。 可動部もフィルターもなく、筐体そのものがパネルと基板の熱を逃がすように設計されています。無音で、掃除するものも、機械的に壊れるものもありません。ただし工場で熱設計がきちんと行われている場合に限って成り立つ方式なので、「ファンレスか」だけでなく「どうやって熱を逃がしているか」を聞く価値があります。
メーカーへの質問:「本体はファンレスですか。ファン付きなら、フィルター清掃の周期と担当者は。ファンレスなら、パネルの熱はどのように排出していますか。」
4. 片面か両面か ― 一台で二つの客層に
ウィンドウ用ディスプレイは通常、通りに向けて設置します。両面タイプなら、同じ吊り位置に店内向けの画面がもう一枚加わり、通行人と来店客に同時に見せられます。物件情報、メニュー、キャンペーンなど、外と中の両方に見せたい内容があるなら有効です。両面タイプは画面を遮らないよう、ウィンドウの天井から吊るのが一般的です。
サイズを決める前に片面・両面を決めてください。両面は重く、荷重に耐える天井固定が必要です。
メーカーへの質問:「必要なサイズで両面タイプはありますか。取付金具込みの重量は。」
5. サイズ・取付方法・ガラスとの距離
ウィンドウ用ディスプレイには幅広いサイズがあります。小さな店頭なら 43 インチ、一般的な店舗の窓なら 55〜65 インチ、大きな窓や視認距離が長い場所なら 75〜86 インチ。取付は天吊り(ウィンドウ内にワイヤーやポールで吊る。両面タイプに多い)と自立スタンド(ガラスのすぐ内側にスタンドを置く)の二択です。
実務上のポイントは三つ。
- 画面はガラスに近づける。 隙間が広いほどガラス自体の映り込みが増え、外光が画面を洗います。ただし本体の放熱と清掃のための空間は残すこと。
- 天井を確認する。 大型の天吊りには重量に見合った固定が必要で、電源とデータの配線ルートは内装工事が終わる前に決めておくこと。
- 縦か横か。 窓は縦長が多く、縦置きの方が目の高さで大きな文字を出せます。
メーカーへの質問:「このサイズで選べる取付方法は。取付図面と重量を出せますか。」
6. 歩道から読める表示にする
見る人は屋外にいて、歩きながら、ガラス一枚を隔てて画面を見ます。それを前提に作ってください。大きな文字(2〜3 m 離れた歩行者には 55 インチで文字高 12 mm 以上が目安)、高いコントラスト、一画面あたりの文字は少なく、切り替えは読み終えられる速さで。暗い背景に小さな明るい文字は避けてください――通りの映り込みがちょうど文字の位置に重なります。
なお、ガラス自体の映り込みはディスプレイとは別の問題で、ガラスの種類、太陽の角度、向かいの建物で決まります。画面をわずかに傾ける、庇を付けるといった対処の方が、ディスプレイのどんな機能よりも効くことが多いです。
7. 2年目・3年目にかかる費用
本体価格は小さい方の数字です。2年目以降にかかるのは、電気代(1日12時間点灯する高輝度バックライトの消費電力は無視できず、自動減光はここで元が取れます)、コンテンツの運用、そして保守です。ファン冷却型ならフィルター清掃とやがてファン交換、どのタイプでも、電源やメディアプレーヤーを本体ごと窓から外さずに交換できるかどうかで保守の手間が変わります。メーカーが受注を競っている今のうちに、これを聞いておいてください。
メーカーへの質問:「フル輝度時と減光時の消費電力は。電源とメディアプレーヤーは現場で交換できますか。」
確認チェックリスト(RFQに貼り付け用)
- 窓の向き・直射日光の時間:______
- 完成品の定格輝度:______ cd/m²(1,500 / 3,000 / 4,000)
- 照度センサー自動減光:標準・オプション・なし
- 冷却方式:ファンレス密閉 / ファン+フィルター(周期:______)
- 片面 / 両面
- サイズ:43 / 55 / 65 / 75 / 86 インチ・縦 / 横
- 取付:天吊り / 自立スタンド・重量:______・取付図面:有 / 無
- 消費電力(フル / 減光時):______
- 電源・メディアプレーヤーの現場交換:可 / 不可
EKAAのウィンドウ向けディスプレイについて
参考までに、EKAA のウィンドウ向けシリーズは上記の各項目に次のように対応しています。全機種ファンレス構造で、保守が必要なファンやフィルターはありません。輝度は 1,500 / 3,000 / 4,000 cd/m² から選べ、3,000 と 4,000 cd/m² のモデルには照度センサーによる自動減光を標準搭載。片面・両面の両方を用意し、サイズは 43・55・65・75・86 インチ、取付は天吊りと自立スタンドに対応します。

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